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ますます重要になる人事・労務のコンプライアンス

コラム執筆者プロフィール

川島孝一 氏

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。


第030回 ついに成立した改正労働者派遣法~その1

(2015年10月)

 平成27年3月27日に発表された平成25年度の労働者派遣事業報告書の集計結果によると、派遣労働者数は「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣事業」を合わせて約252万人にものぼります。また、年間売上高は、総額5兆1,042億円となっています。
 会社の経営をしていく上で、派遣労働者の活用がスタンダードになっているのは言うまでもありません。

 すでにテレビや新聞等で大きく報じられたように、労働者派遣法が改正され、平成27年9月30日より施行されました。今回の改正は、平成24年改正労働者派遣法の「労働契約申込みなし制度」の施行が10月1日にせまる中、成立から施行までわずか20日間しかないきわめて異例の経過をたどりました。
 今回から数回に分けて、大幅に変更された労働者派遣制度の概要についてみていきます。第27回テクニカルコラム「いよいよ成立が見込まれる労働者派遣法」では、労働者派遣法の一般的な部分について触れています。今回のコラムとあわせて参照ください。

<一般派遣と特定派遣の一本化>
 法改正前は、派遣事業を行う事業主は、労働者派遣を行う労働者の雇用形態によって「常用型派遣」と「登録型派遣」にわけられていました。それぞれの定義は、次のとおりです。

1)常用型派遣とは・・・
  ・派遣元に常時雇用している労働者を派遣する。
  ・常用型派遣しか行わない派遣業のことを「特定労働者派遣事業」と呼んでいた。
  ・特定労働者派遣事業を行う場合は届出だけで実施できた。

2)登録型派遣とは・・・
  ・派遣労働を希望する労働者をあらかじめ派遣元事業主に登録しておき、
   実際に派遣する時に一定の期間を定めて派遣労働者を雇用する。
  ・登録型派遣もあわせて行なう派遣業は「一般労働者派遣事業」と呼んでいた。
  ・一般労働者派遣事業を行う場合は許可が必要である。

 今回の法改正によって、「特定労働者派遣事業」と「一般労働者派遣事業」が一本化され、すべての労働者派遣事業は新たな基準による許可制となりました。つまり、特定労働者派遣事業はなくなることになります。
 ただし、平成27年9月30日時点ですでに特定労働者派遣事業を営んでいる会社については、平成30年9月29日まで引き続き「その事業の派遣労働者が常時雇用される労働者のみである労働者派遣事業」(改正前の特定労働者派遣事業に相当)を行うことが可能です。

 一般労働者派遣事業をこれまで行ってきた会社は、更新期限までは新たな基準で許可を受ける必要はありません。届出によって特定労働者派遣事業を行っている会社は、平成30年9月までに新たな基準による「一般労働者派遣事業の許可」を得る必要があります。

<新たな許可基準について>
 法改正により、一般労働者派遣事業を開始するには、新たに許可基準が追加されました。
 これから派遣事業を行うことを考えている会社や、これまで特定労働者派遣事業を行っていた会社は、この新しい許可基準をクリアしなければ、派遣事業を開始または継続することができません。

 新しい基準とはどのようなものかをみていきましょう。
 以下の基準は新設された基準のみを記載しています。既存の基準については省略をしていますので、実際に許可申請をする際は行政機関に確認をしながら手続きを進めて行ってください。

新設された基準
1)派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして次に掲げる基準に適合するものであること

・派遣労働者のキャリア形成支援制度を有すること
・教育訓練等の情報を管理した資料を労働契約終了後3年間は保存していること
・無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと
 また、有期雇用派遣労働者についても、労働者派遣契約の終了時に労働契約が存続している派遣労働者については、
 労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと
・労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した派遣労働者について、
 次の派遣先を見つけられない等、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合には、
 労働基準法第26条に基づく手当を支払う旨の規定があること
・派遣労働者に対して、労働安全衛生法第59条に基づき実施が義務付けられている安全衛生教育の実施体制を整備していること
・雇用安定措置の義務を免れることを目的とした行為を行っており、都道府県労働局から指導され、
 それを是正していない者ではないこと

2)事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること
 ※小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置

・常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業事業主
 →当分の間、基準資産額:1,000万円、現預金額:800万円を充たすこと
・常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主
 →平成30年9月29日までの間、基準資産額:500万円、現預金額:400万円を充たすこと

   ***********************************
 労働者派遣法の改正によって、労働者派遣の制度は大きく変わることになりました。今回は、新しい許可基準を中心にみてきました。
 キャリア形成支援制度や、派遣期間制限の見直しなど、新しいルールはこれ以外にも多く新設されました。これらについては、次回以降のコラムで詳しくみていきたいと思います。


※本コラムは執筆時点で公となっている情報に基づいてコラムニストが執筆したものであり、コラムニストの意志を尊重し原文のまま掲載しています。
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