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会計イノベーション

コラム執筆者プロフィール

原尚美 氏
税理士。東京外国語大学卒業。
TACの全日本答練「財務諸表論」「法人税法」を全国1位の成績で、税理士試験に合格。直後に出産。育児と両立させるため、1日3時間だけの会計事務所からスタートし、現在は全員女性だけのスタッフ22名、一部上場企業の子会社やグローバル企業の日本子会社などをクライアントにもつ。
ミャンマーに会計サービスの会社を設立し、海外進出支援にも力をいれている。
著書に「小さな会社のための総務・経理の仕事がわかる本」「小さな起業のファイナンス」いずれもソーテック社刊。「51の質問に答えるだけですぐできる『事業計画書』のつくり方」日本実業出版社刊。「トコトンわかる株式会社のつくり方」新星出版社刊。「世界一ラクにできる確定申告」技術評論社刊。「一生食っていくための士業の営業術」中経出版など。
その他、「経理ウーマン」「デイの経営と運営」など雑誌への寄稿や、商工会議所、中小企業投資育成株式会社、日本政策金融公庫などでの、セミナー実績も多数。
原&アカウンティング・パートナーズ(原会計事務所)代表。 http://hara-tax-accounting.com/

第010回 リーダーなら知っておきたい管理会計の基本

( 2014年12月)

前回に続いて、「限界利益」という利益について、もう少し詳しくみていきましょう。

限界利益は、経理パーソンに馴染みの深い財務会計の世界では、「売上総利益」に近い感覚です。
前回の「5つの利益」を思いだしてください。
売上総利益=粗利とは、会社がうみだす付加価値の大きさを表す利益でしたね。
つまり、限界利益とは、会社がうみだす付加価値のことをいうのです。

限界利益を算式で表すと、次のようになります。
売上-変動費=限界利益

変動費とは、売上があがると、支払も増える費用のことをいいます。
もちろん売上が減少すると、その分だけ支払も減ります。
変動費の代表例といえば、仕入でしょうか。または、商品をお客様に届けるための物流費も、変動費です。売上が増えれば、
自然と物流費もアップするからです。

しかし、会社を運営するためには、変動費以外のコストもかかります。商品を売るためには、営業マンに給料を払わないといけないし、
商品をストックしておくための倉庫代も必要です。
これらの費用は、売上が下がったからと言って、売上高にリンクして支払額が変わるわけではありません。
もちろん、業績が悪くなったら、リストラもしなければならないし、もっと小さな倉庫に移転することもありますが、
いったん契約をしたら、 また一定額の支払額をすることになります。
このように、売上高に関係なく一定金額を支払う費用を、固定費といいます。会社は最低でも、この固定費を稼がないと、
その存続すら危ぶまれるというわけです。
もし、会社の利益が0円だとすると、上記の式は次のようになります。

売上-変動費=固定費

しかしこれでは、会社を維持、運営するための固定費を払ったら、利益が残りません。
前回の「利益」の話を思いだしてください。
会社は利益をうむことを義務づけられている存在、利益を生むことで、社会に貢献する存在でした。
利益をうまなければ、従業員を雇用することも、税金を払うことも、銀行に返済することも、株主に配当することもできません。

そこで、上記の算式に「会社の利益」をプラスしてみましょう。

売上-変動費=限界利益=固定費+会社の利益

管理会計で重要なのは利益の分析です。管理会計とは、売上やコストをコントロールして利益を最大化し、その結果、社会に
より多くの付加価値を生み出すためのツールだからです。

上記の算式から、利益を最大化するためには、次の3つの項目に着目すればよいことがわかります。

①売上を最大値にする
②変動費を減らす
③固定費を減らす

具体的な例をあげて、考えてみましょう。
あなたは、新宿御苑でマンゴージュースを売っています。

余談ですが、ミャンマーには街中に、マンゴーの木がたわわになっています。日本でも昔は、そこら中に柿がなっていたような
気がします。もぎたてのマンゴーの美味しさと言ったら、ビックリするほどです。

ともあれ
マンゴージュースの値段を、300円。マンゴー一個の仕入れ値は、150円とします。
新宿御苑に払う場所代は、10万円です。平均すると1月に100杯のジュースが売れるので、ジュース1杯につき、100円の場所代を
払っていることになります。

さて、あなたが付加価値を最大にして、できるだけ多くの利益をうみだすには、どうすればよいか、上記の算式で考えてみましょう。
①まず、売上です。
売上は、さらに次の算式に分解できます。
単価×販売数量=売上

あなたが考えることは、マンゴージュースを100杯以上、たとえば120杯、150杯売るにはどうすれば良いかということです。
そんなに売るのが難しいのであれば、その理由を考えます。もしかしたら、マンゴージュースの価値に比べて、値段が
高すぎるのかもしれない。1杯の値段を250円に下げるべきかを検討します。
それとも、新宿御苑で売れるマンゴージュースの数量は、100杯が限界なのかもしれません。
それならば、価格を350円にあげても、100杯の販売が確保できないかと、考えてみます。

②次に、変動費を減らす努力をしてみます。材料のマンゴーを100円より値下げしてもらえないか、交渉します。または別の
仕入ルートがないかなども検討の余地がありそうです。

③さらに、新宿御苑に払う場所代についても、交渉してみる価値がありそうです。
もしくは、マンゴージュースの販売数を今の倍の200個にすることができれば、ジュース1杯あたりの固定費は、100円から
半分の50円に下がることになります。

ここまで読んで、管理会計と財務会計の違いに気づいていただけましたか?

財務会計は、過去の会社の取引を集計して、現状を分析・把握するためのものです。
それに対して管理会計は、現状のデータを元に未来を予測するためのツールです。
管理会計は、経営者やリーダーが意思決定するための会計と言われるゆえんです。

次回は、限界利益の計算方法についてお話ししましょう。


※本コラムは執筆時点で公となっている情報に基づいてコラムニストが執筆したものであり、コラムニストの意志を尊重し原文のまま掲載しています。
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