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かゆいところに手が届く労務管理のツボ

コラム執筆者プロフィール

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/


第002回 高年齢者雇用活用の留意点

(2014年9月)

 少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、若年者、女性、高年齢者、障害者の雇用の活用が期待されているところです。
なかでも、高年齢者の雇用については、長年培ってきたスキルや知識、経験をいかに有効に活用できるかが重要となりますが、企業によってはその対応に苦慮し有効活用しきれていない現状があるようです。また、高年齢者も定年前と再雇用後の賃金の低下や職務内容の変更等により、モチベーションが低下していることも課題の一つです。
今回は、高年齢者をとりまく法律、年金、雇用保険等の制度から、高年齢者の雇用活用の留意点についてお話したいと思います。

●65歳までの雇用確保を求める「高年齢者の雇用の安定等に関する法律」の概要
 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」において、65歳までの安定した雇用の確保のため、(1)定年の引き上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年制の廃止のうち、いずれかの措置を講じなければならないと定めています。
 平成25 年に厚生労働省が実施した「高年齢者の雇用状況」の集計結果では、(1)「定年の引上げ」措置を講じている企業は16.0%(21,072 社)、(2)「継続雇用制度の導入」措置を講じている企業は81.2%(107,259 社)、(3)「定年の廃止」の措置を講じている企業は2.8%(3,736 社)となっており、継続雇用制度を導入している企業が圧倒的に多いことがわかります。
 なお、平成25年3月までは、継続雇用制度を設ける場合は、労使協定を締結し、年金の受給開始年齢に到達した以降は選定基準(たとえば一定の評価以上でないと継続雇用しない等の基準)を満たさない者は継続雇用の対象からはずすことが可能となっていましたが、平成25年4月の改正により、選定基準を設けることはできず、原則として希望者全員を65歳まで継続雇用することが義務付けられました。

●年金制度と高年齢雇用継続給付金の関係
 60歳以降に働く場合、次の3つの収入源が想定されます。
(1)賃金
(2)老齢厚生年金
(3)雇用保険の高年齢雇用継続給付金

 (1)の賃金については、定年後に継続雇用される場合は低下するのが一般的です。
 (2)の老齢厚生年金は、生年月日に応じ段階的に受給開始年齢が引き上がっています。受給開始年齢は男女で異なり、現在、男性では61歳から、女性では60歳から年金が受け取れますが、生年月日により徐々に引き上がり、最終的には男女とも65歳からでないと年金は受給できなくなります。また、年金をもらいながら厚生年金に加入し働いた場合、報酬に応じて「在職老齢年金」の仕組みにより年金額が減額されてしまいます。
 (3)の雇用保険の高年齢雇用継続給付金は60歳時点での賃金と比べて60歳以降の賃金が低下した場合、低下の率に応じて雇用保険から給付金が支給されるという仕組みです。なお、高年齢雇用継続給付金が支給されると、一定の割合で年金額は減額されます。
 以上、(1)から(3)の3つの収入源のうち賃金額を基本として年金、高年齢雇用継続給付金の調整が複雑に絡み合っており、60歳以降の収入を自身で試算することはなかなか困難です。

●高年齢者雇用活用の留意点
 社会保険労務士である私は企業の担当者からは定年退職後の収入を試算して欲しい、手取り収入が減らないよう60歳以降の賃金の設定をして欲しい等ご依頼をいただくことがありますが、収入のみの観点にとらわれず、以下の観点で高年齢者雇用を検討して欲しいとお話しています。
(1)年金収入と雇用継続給付金ありきで賃金を設定しないこと。
 年金収入や雇用継続給付金の試算額をもとに賃金を設定したり、60歳以降の賃金は60歳時点の○%と一律に決定するなど、個々人の職務内容と異なる賃金設定は高年齢者のモチベーションダウンにつながり組織が停滞してしまいます。あくまで参考としてとらえることをお勧めします。
(2)個々人の就労内容や雇用形態の希望を勘案し柔軟に対応すること
 高年齢者によっては技能の継承など企業が進んで継続雇用を求める者や、家庭の事情や健康状態により定年前の就労内容とは異なる雇用形態を希望する者など、個別に柔軟に対応することが求められます。
(3)定年までの適正・的確な評価の積み重ねが重要であること
定年までの評価・人事考課を適正に行っていない企業では継続雇用後の高年齢者をうまく活用しきれていないケースが見られます。現役時代から定年後の雇用も見据え評価を適正に行い準備していくことが重要です。
(4)高年齢者の雇用を義務ととらえず組織の活性化の機会ととらえること
経営者がよく陥りがちなのが、高年齢者の継続雇用は義務なので仕方がないという姿勢です。定年から雇用継続のタイミングは、これまでの職務内容等を見直し新たにリセットできる時期です。裏を返せば組織の活性化につながるチャンスととらえることもできるのです。高年齢者活用をうまく行えば高年齢者のモチベーションを上げ現役世代にもよい刺激や影響を与え組織の活性化が図れます。

 今後ますます、高年齢者の活用は重要視されていきます。企業にとっては高年齢者の活用を好機ととらえうまく活用することが企業の成長につながるという視点を持つことが何より重要と考えます。


※本コラムは執筆時点で公となっている情報に基づいてコラムニストが執筆したものであり、コラムニストの意志を尊重し原文のまま掲載しています。
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