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かゆいところに手が届く労務管理のツボ

コラム執筆者プロフィール

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/


第009回 雇用関係の助成金 申請のメリットと留意点

(2015年5月)

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
雇用関係の助成金は、返済不要で支給要件さえ満たせば受給でき、労働者の能力開発や雇用の促進を図りたい事業主にとっては
大いに有効活用できる制度であります。ただ、実際には助成金は種類が多くてわかりにくい、あるいは、手続きが面倒だし
人件費に換算すると割に合わない、という声をよく聞きます。そういった理由のためか、助成金は容易には手を付けられないと
考えている会社が多いようです。
助成金を申請することのメリットは、大いにあります。一方で、申請する際に留意すべき点もあります。
今回は、助成金を申請するメリットとその留意点についてお伝えしたいと思います。

メリット1 雇用環境を改善するためのヒントが得られる
助成金は、社会情勢や国の労働施策を反映しています。近年、労働関連で推進してきた取り組みには、非正規雇用労働者や
派遣労働者の待遇の改善、少子高齢化に伴う両立支援、高年齢者や障害者、若年層の雇用やキャリア形成の促進など
様々なものがあります。
雇用環境を改善するために、何に取り組めばよいのか、助成金が示す取組内容等からヒントが得られます。
例えば、両立支援等助成金は、事業内保育施設の設置・運営や育児休業者の継続就業支援など仕事と家庭の両立のための
取組内容を具体的に示しています。自社にとってどのような取組が有効であるか、具体的に検討するよい機会になります。

メリット2 労働者のキャリア計画や採用・配置計画に役立つ
教育を支援する助成金は、あらかじめ目標を定め計画届を作成し、管轄機関に届け出る必要があります。教育計画は段階的かつ
体系的に立てる必要があり、計画届を作成しながら労働者のキャリア計画や採用・配置について明確な方向づけができます。

メリット3 法定帳簿や就業規則の整備ができる
助成金の受給申請時には、賃金台帳・出勤簿・労働条件明示書などの法定帳簿や就業規則の提出が求められることがあります。
これらは、審査が円滑に通るように法的な基準を満たし整備されている必要があるため、自社の帳簿や就業規則を見直し整備する機会になります。

メリット4 労働者の満足度が上がる
助成金の目的は、採用や教育の支援や待遇改善等、会社が取り組む施策に対する助成です。労働者が働きやすい環境や教育体制を整えることで、労働者の満足度を上げ、会社が活性化するという相乗効果が得られます。

以上、助成金申請のメリットを述べましたが、一方で留意点もあります。

留意点1 会社都合の退職者を出すときはタイミングに留意する
主に採用支援の助成金は、事業主都合による解雇(退職勧奨を含みます)や、一定数以上の特定受給資格者
(本人の責めによらず、労働条件が低下するなどで離職を余儀なくされた労働者)を出してしまうと、一定期間助成金が
受けられなくなる場合があります。したがって、助成金の申請をしている、または予定している会社は、解雇等のタイミングに
十分留意する必要があります。

留意点2 必ず受給できるわけではない
当たり前のことかもしれませんが、助成金は、要件をクリアしていないと受給できません。要件をクリアするためには、
提出書類は内容が精査され、場合によっては追加の書類が求められることもあります。書類に不備があると受給額が減ったり、
または全部不支給となることもあります。また、申請書類の提出期限を過ぎてしまうと管轄機関は受理してくれませんので、
書類の作成や添付書類の収集・準備は余裕を持って行いましょう。

留意点3 新たな制度を導入した場合、容易に廃止できない
新しい制度を導入し就業規則に規定することが必要な助成金もあります。待遇改善や労働環境向上のための制度の導入は
労働者にとって望ましいものですが、一旦就業規則に定めた場合には、容易には廃止できません。
これは労働条件の不利益変更にあたるため、変更にあたっては内容の周知や労働者が受ける不利益の程度・労働条件の変更の
必要性・内容の相当性等が合理的なものであるかが問われます。そのため、助成金の受給のために安易に就業規則を変更せず、
実行可能な制度であるか十分検討した上で制度を導入すべきでしょう。


※本コラムは執筆時点で公となっている情報に基づいてコラムニストが執筆したものであり、コラムニストの意志を尊重し原文のまま掲載しています。
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