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かゆいところに手が届く労務管理のツボ

コラム執筆者プロフィール

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/


第016回 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大について

(2016年2月)

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
非正規労働者の将来の年金権の確立や、女性の就業意欲の促進を図るため、年金機能強化法施行により、短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大されます。施行日は今年10月1日からで、概要は下記の通りとなります。

1.短時間労働者の社会保険の適用拡大
現在、短時間労働者が社会保険に加入するには、「1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上」であることが要件です。この基準が、下記に該当する短時間労働者に拡大されることになります。
① 週20時間以上
② 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
③ 勤務期間1年以上見込み
④ 学生は適用除外
⑤ 従業員501人以上の企業

適用対象となる事業所(「特定適用事業所」といいます)は「従業員501人以上の企業」で、適用拡大前の基準で社会保険加入の対象となる労働者の数で算定します。たとえば、正社員、短時間労働者を合算すると501人以上の企業であっても、うち適用拡大前の基準で社会保険に加入している労働者が501人以上でなければ、特定適用事業所には該当しません。

改正法では適用範囲について「平成31年9月30日までに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる」とされており、今後も検討が加わりいずれはその対象が拡大されると思われます。

厚生労働省は、適用拡大による対象者数は約25万人 と見込んでいます。法施行後に適用対象となることが予定される短時間労働者からは、勤務時間を減らしたい等の要望が上がることも想定されます。企業は社会保険料増加への対応のみならず、このような状況に備え今から対応策を講じるべきでしょう。

2.被保険者資格の適用基準の明確化
今回の改正において、これまで内かんで示していた被保険者の適用基準(いわゆる4分の3要件)が法律上規定され、適用基準が明確化されました。
従前は昭和55年6月6日付内かんに「1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上」と示されていましたが、年金機能強化法の改正により、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が4分の3以上」となります。また内かんには「被保険者として取り扱うことが適当な場合は、総合的に勘案し、被保険者資格の適用を判断すること」とありましたが、年金機能強化法では削除されています。

3.標準報酬月額の下限改定
適用拡大に伴い、厚生年金保険の標準報酬等級の下限が現行の98,000円から88,000円に引き下げられます。


今回の改正は、働き方の多様化により短時間労働者等の非正規労働者も増加している中、非正規労働者の年金保障が十分でないといった課題解決には、一定の効果が見込まれるといえます。
しかし一方で、本来、社会保険への加入手続きをすべきなのに、加入の届け出を怠っている加入逃れの事業所の問題も存在します。厚生年金に入る資格がありながら国民年金に入っている人は200万人と推計されており、加入すべき人が入れないままであるという状況に対しても、取り組みを強化しより公平性のある仕組みを整えるべきでしょう。

※本コラムは執筆時点で公となっている情報に基づいてコラムニストが執筆したものであり、コラムニストの意志を尊重し原文のまま掲載しています。
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